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アリス企画2作目です。

【花を育てる男】



少年の頃 男は不思議な体験をした。






クリスマスの朝 目を覚ますと

枕元には 植木鉢と土と黒い種が置かれていた

少年は 植木鉢に土を入れ 種を蒔き 水を注いだ

種は芽を出し ゆるゆる育ち

次の年の12月には 花が咲こうとしていた



しかし 12月23日の朝には 花は植木鉢ごと消えていた

そして 25日の朝には

また枕元に 植木鉢と土と茶色の種が置かれていた



なんだというのだ これは?

あの花は どこへ行ったのだ?

少年はまた 植木鉢に土を入れ 種を蒔き 水を注いだ



種は芽を出し ゆるゆる育つ

次の12月には 花が咲こうとしている



しかし 12月23日には 花はやはり 植木鉢ごと消えていた

そして クリスマスの朝には

枕元に 植木鉢と土と白い種が置かれていた



・・・



ある年 少年は 花を枯らしてしまった

いつの間にか消えていた 植木鉢ごと消えていた



枯らしたんじゃない 盗まれたんだ きっと

少年は自分に言い聞かせる

その年のクリスマスの朝には 植木鉢も土もどの色の種も

枕元には置かれていなかった

少年は少し安堵し 少し寂しく思った



・・・



やがて 少年は青年に 結婚をして 父となり

壮年を過ぎ 甲斐なく暮らしている



妻に先立たれ 息子からは連絡もなく

病に倒れ 死を待っている



クリスマスの朝 男は目を覚ます

枕元には 黄色い花が置かれていた

贈り物らしき包装はない

男は首を捻り 少し気分がよくなった 



花のある暮らしなど いつ以来か。

毎日 水を遣り 陽のあたる場所へ鉢を置く

黄色い花は 少しずつ咲いては散り 咲いては散っていった



そして1年後 枕元には桃色の花が置かれていた

男は 少年の頃を思い出す

これは 自分が昔 育てた花ではないのか?

確かめる術もないけれど これはきっと あのときの花に違いない



そうならば 何年後かには 花は届かなくなる

自分は そのとき 死ぬのだろうか?

それはとても 納得のいく考えだ

しかし 花が咲く限り 自分は生きて この花に水を遣り続けなくてはならない



・・・



男は 今も生きている

初めて花が届いてから7年

少年の頃 育てた花の数は もう過ぎた

そして 今朝も 花が届いた



今年も大切に 花を育てよう

そして 植木鉢と土と花の種を買い それも育てよう 

あの少年の日のように どこかの誰かの贈り物にするために



―おわり―



紳士同盟アリス ~Holy Night X’mas~

お題 「サンタクロースの贈り物」より。


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テーマ:ショートショート - ジャンル:小説・文学

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本命と聞いて駆けつけましたw

淡々と進む短い物語の中に
いろいろなものが籠ってますね。
素敵な贈り物だと思います…

行き詰ったときに、前へ進む何かを見つけられるっていうのは、凄くいい事ですよね。

でも、だけど、それでも、前に進もう。
って言う感じが、私は好きです^^

いやぁ、これは好きです。
こういうのすごい好きですわ。この世界観。

得体の知れない種を何年も育てる、
好奇心旺盛で純な少年はどれくらいいるんでしょうかね。
いい意味で子供らしい子供がたくさんいて欲しいもんです。
僕だったら、すぐネットとかで検索しますけどね(笑)

そんな子供たちが育てた花が、サンタによって?晩年の大人のもとへ。
いやー、ぐっと来ますわ。

ハロウィン以来ですが、どうもお久しぶりです

会話が一切無いっていうのが、淡々と時間が流れる感じがしておもしろかったです
この世界ではこうやってプレゼントが次から次に受け渡されていくのかと思うと、暖かい気持ちになりました
こういう粋なサンタがいる世界に僕は住んでみたいですね

記載漏れ大変失礼いたしました。

サンタから届く贈り物。
こんなにも印象深いものをおつくりになるとは・・・・

わたしも、この話好きです。

少年時は育てるという未来。
老年期は行く末を見つめる覚悟。

どちらも勇気がなければできないことなのに、それを乗り越えた強さって素敵ですね。

冬は植物が眠る季節なのに、そこから生まれさせるという不思議に見える出来事はとても強い印象を残しますね^^

素敵な文章を読ませて頂きありがとうございますm(__)m

いつからか花を育てなくなった少年。今の自分はそうなのかー、と思います。でも、きっと昔は純粋に花を育ててた頃があって、そしてまたいつかゆっくり花を見る時がくるのかなー、なんて。

そんの時は分からなくても、命とか気持ちとか、色々なものはきっと受け継がれていくものなのでしょうね。

読んでくださってありがとうございます!

>Mr.Noddyさん♪

駆けつけてくださって ありがとうございます!
最初 全然コメントつかなくて 若干焦ってました(^^;

精一杯 短くしてみました
下書きのときは もう少し長かったです
凝縮されたかな?


>yumiさん♪

あー 凄く的確なコメント ありがとうございます!

>でも、だけど、それでも、前に進もう。
そうやって あがく元気を出すための ほんの一押し。
そんなプレゼントですね^^


>スミさん♪

>こういうのすごい好きですわ。この世界観。
ありがとうございます!
締め切り二日前に ぽこっと出てきた発想でした

あー 少年のリアリティーはないですよねぇ
できるだけ短くしたかったので 描写を削ったのと
あと まあファンタジーですから^^

>サンタによって?
きっとそうだと思いますw

読んでくださってありがとうございます!

>toneさん♪

こんばんは^^
音風呂では よくお見かけしてますよー
曲の方も少しは聞かせて頂いている筈?

>会話が一切無いっていう・・・
言われてみればw
最初下書きしたものを削る前も 会話はなかったですねー
基本 回顧と自問自答ですからそうなったのかな?

この世界独特のやり取りを気に入ってもらえて 嬉しいです♪


>綾瀬さん♪

いえいえ^^
ひとつ目の方に告知するか まとめるかすればよかったのですが
「まだあるよん」という感じで 2作目を出したかったので
まとめておきましたv

気に入ってもらえたようで 光栄です!
綾瀬ちゃんからコメントあると なんか安心します^^


>準記念物さん♪

>少年時は育てるという未来。
>老年期は行く末を見つめる覚悟。
おお!なるほどw
書き手より深く読んでくださってありがとうございます♪

「花を枯らさない」という使命感が 老人を支えます
少年の日の見返りではなく 生きる姿勢みたいなものでしょうか
(あ なんかかっこつけた)

こちらこそ 本文を上回る感想をありがとうございました♪


>三代目さん♪

花を枯らしてしまった時点で 少年の日が終わり 
人生の盛りに突入したのでしょうね

意味もわからず育ててるがむしゃらさを いつのまにかなくしてしまったことに気づく切なさとか。

できることなら 甲斐ない暮らしじゃなく
余裕をもち花を育て 眺めたいものです^^
お知らせとか。
久しぶりにココに手を入れます。ブログブーム到来です。そして、 ショートストーリーブーム、始まりました。 いつまで続くか分かりませんが、どうぞよろしくお願いします。  
近況コメント (2015/3/17 up)
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