ええねん

懐中電灯の灯りか ほの暗い風呂場にて



「お母さん 私もシャンプー使いたい」 女の子の声がする

「我慢しぃ」 多分 お母さん



どうやら誰かが シャンプーを持っているようだ



石鹸で 肌を洗う女たち

石鹸は 持ってる誰かが 割りと気軽に貸してくれる



私は 石鹸で髪を洗っていた

少しきしむが 昔のことを思えば たいしたことではない



シャンプー使いたい シャンプー使いたいなぁ…

女の子の声は 小さく けれど風呂場全体に響く



・・・



「お嬢ちゃん これ、あげるわ」



髪を洗い終わった婦人が 女の子にシャンプーを渡す

婦人を見上げる女の子 恐縮する母親



「いや こんな貴重なもの…」

「ええねん ええねん」

「すみません じゃあ ちょっとだけ使わしてもらいな」

「いや これ、あげます」

「そんな…」

「ええねん ええねん」



婦人は 湯にさっと浸かり 去っていく



「おばちゃん ありがとう!」

「うんうん」

「ありがとうございます ほんまにええんですか」

「ええねん ええねん」



・・・



私は湯に浸かっている

女の子の嬌声に 心が華やぐ



「よかったなあ」

「うん!」

「お母さんも使う?」

「お母さんは ええねん」



「なんで?」

「あんたが 大事に使いなさい」

「まゆちゃんには 貸してあげてもいい?」

「ええよ 誰にでも貸してあげなさい」



ふたりのやり取りに 思わず皆 笑う

湯の中で 私も笑う



「なあ お母さんは?」

「お母さんは ええねん」



~使こたらええねん みんなで使こたらええねん~

どこからともなく 響いたその声は



おそらくその場にいた 皆の思い

ええねん ええねん こんなときやもん。



母親が シャンプーを使う

「あー ええ気持ちやわー」



それで ええねん



-Fin-





ちょっと遅れてしまいましたが

平成7年1月17日に起きた地震 「阪神淡路大震災」のときの

母から聞いたエピソードに 少し色をつけたお話です



自衛隊の人たちが作ってくれた 大きなキャンプのお風呂にて

おおよそ 上のようなことがあったそうです

話の都合上 マイ・マザー=私 としています



・・・



暴徒もいたけれど

だいたいの人が こんな感じで

譲り合い・助け合いをしていたそうです



女の子の嬌声に ムカつくんじゃなくて 皆 笑っているところが

そのとき独特の雰囲気だったのではと 思います

(母の性格だったら 普通は絶対ウルサイ!と思う筈w)



・・・


そのとき 私がどうしてたかと言うと…

ひ・み・つ♪

(なんでやねん)


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はじめまして!

以前からちょくちょく見させてもらってました。

今日の記事を見て、とても心温まり涙が出ました。

ええねん…とてもあったかくて優しい言葉ですね。話す人も温かい人たちだから余計にそう感じるのでしょうね☆

優しさに包まれたお話にぐっときました。

よかったらうちのブログにも遊びに来て下さいね!たまにしか更新してませんが(笑)

またきます☆

ごめんなさいURL入れるの忘れてました(笑)

素敵な話は心があったまりますねー^^

そういう大変なときだからこそ
暖かさが伝わるんでしょうね・・。

ええねん。ええねん。

情景がぱあっと広がりました。
答えを知るまでは、戦後かな?なんて思いましたが
ある意味近かったです。

思いやりと助け合い どちらも大切ですね。
まだまだ捨てたもんじゃない日本が
私は大好きです。

こんばんわぁ。いいお話をありがとう。
最初、昭和の時代、
それも家庭にお風呂が無い時代のお話かと?
体がほかほかと温まりながら、読みました。
そうか、震災時のお話だったんだと、
そう遠い昔でも無いのに。
昭和の時代、何もなかったから・・と言う時代。
そのほのぼのさ、助け合う優しさ、
蔑まない心、いろんなものが凝縮されていて。

でも、参考になりますね。
文章って、こんな風に書くのだと。
また日参して勉強します。
良かったら来てくださいね。
これからもヨロシク。ポチ2ww

>追記。

この話は おおよそ現実の話ですが
私と母が このような視点で震災を語れるのは 
「家族が無事で 家もなんとか残ったから」
そういう前提のもとのことなのです

被災されたすべての皆さまに祈りを。
まだ 何某か背負っておられる方 頑張りましょう。
私も頑張ります。

恵以子

>たすくさん♪

こちらでははじめまして^^
お名前は よくお見掛けしています

「ええねん」は関西の方じゃないともしかして
ちょっとニュアンスが掴めないかもしれませんが
ここでは ふたつの意味を持ってます
優しさに包まれた話と言って頂けて光栄です!

また 遊びに来てくださいね
私も行きますw

>はのいさん♪

大変なときにこそ 見えるものってありますよね
でも これは震災から何日か日が経っているし
しかし慣れない生活で いい意味での緊張感のある日の
出来事だったのではないかと思います
私も 一度そのお風呂に入ったけど
なかなか気持ちよかったです お世話してくれた人に感謝です☆

>綴夜さん♪

>答えを知るまでは、戦後かな?なんて思いましたが・・・
アハッ(汗
そうなんですよね 本文では震災のことには直接触れてませんから
なんか 書かない方がいいかな~と思ったので

>ある意味近かったです。
おぉ!そういう感想が頂けるとは思ってませんでした
嬉しい誤算ですw
大事にしていきたいですね こういう風習を

>雫さん♪

雫さんも昭和の話だと思われたのですね
あとがきがなくては成立しない話ですね
優しさやあたたかさを抽出したお話です
現実には 色々あったようですけどね

私の文章は 「順番どおりに書いてあって
わかり易いが 面白くない」と 酷評されたことがあります
まあ 事実でしたので><;
こんなに誉めてもらえて とても嬉しいです
ありがとうございます♪

前半部分で純粋にほっこりと胸が温かくなり、涙ぐんでしまい…
追記部分を読み、更に胸にしみました。
あの頃は殺伐とした話も聞いたけれど、こうやって譲り合い 助け合いの気持ちの方が強かったからこそ、今があると思います。
ステキな記事でした。ありがとうございます。

>puririさん♪

本文(前半)に 震災のことだと書いてしまうと
なんだか白々しくなるような気がして 後半に回しましたw
いい話もあれば悪い話もありますから
今回は いい話に絞りました

こちらこそ 最後まで読んでくださってありがとうございます♪
お知らせとか。
久しぶりにココに手を入れます。ブログブーム到来です。そして、 ショートストーリーブーム、始まりました。 いつまで続くか分かりませんが、どうぞよろしくお願いします。  
近況コメント (2015/3/17 up)
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