仮の住処

影文との神戸訪問(私の実家)が終わった昨年。

今年のお正月は影文の実家にと思ったが、残念ながらお正月はムリだと言われた。

だけどまた春が来るまでにと、ご訪問の快諾を得ている。

そんな1月半ばのことである。





本格的に一緒に住もうと、影文は私の店にある程度の荷物を持ってきた。

さすがにこのスペースをデッドスペースにする訳にはいかない。

でも、なんだかもの足りない気がするのは私も影文も同じで。



「昨年までとあんまり変わらないね」

「そうだな。だけど・・どうするかな?」

「同棲感すらない」

と二人で苦笑いだ。



「何か、新しい家具でも買うか」

「置けるかな?」

「うーん、物によるけどなあ」



二人でそれぞれ悩む。

店の奥と2階。店の奥は4畳半程度しかなく、2階は整理されていない。

2階を片づければおよそ8畳のスペースができるのだが、今のところそれはできない。

借り主の方の家具がそのまんま残っているのだ。

店はいずれ明け渡すことになるかもしれないので、そういう約束になっている。



・・・



「俺、考えた」

影文が言った。

「何なに?」

「あのな、お前の使っているあの鏡台。あれだけでも他のにしない?」

「あー、あれ確かに便利だけど・・人様のものだしね」

「そうだろ」



私は新しいカーテンとかそういうものを考えていたのだが。

鏡台ときた。なかなかナイスアイデアだ。



「ナイスアイデアだろう。まったくお前は。それにカーテン替えるのもいいな」

「またひとり言言いましたか?」

「おう。言った言った。いつものことだ。もう慣れた」



この調子でお父様やお母様とうまく話せるだろうか。不安である。



・・・



新しい鏡台。この古風で和風な感じに似合う鏡台ってあるだろうか。

似たようなものじゃつまらないしな。

「いっそ、時代劇風にしたら?」

「それもどうかと」



「お前、お義母さんと相談できるか?」

「うーん、難関」

「そうか。じゃあ、ネットとかパンフレットとかで探すか」

「そうしよう。あと、カーテンも」

「おう。あとな、このコタツカバーも買い換えない?」

「そうだね。そういうのをかえていけばいいかもね」



こうして私と影文の仮の住処は、少しずつ私たち色に染まっていくのである。



おわり


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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

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