チケット、とれますか。

「うまく行かない。」



影文がパソコンの前で悩んでいる。

「何の作業?」

「うーん、チケットをな、とってるんだけど・・」



そう、私たちはとある俳優さんのディナーショーへ行くことにしたのです。

そのチケットの売り出し日が今日の12時。只今12時15分。悪戦苦闘している模様。



「手伝おうか?」

「自信ある?」

「まったくないです」



すごすごと引き下がらずを得ない。

こういうときの影文にはお茶も出せない。



「どうしてもな、次のページへ行けなくてな・・」

影文のひとり言。私のとは若干違う。

私も息をのみながら、そっと見守るしか手がない。

このチケットはそこそこ人気があって、あんまり遅くなるとなくなってしまう可能性があるのだ。






「よし、いけた!」

影文が言った。

緊張の糸が解けて私はヘナヘナと座り込んだ。

いけたということは、いけたのだ。つまりチケットは取れた模様。やった!万歳!



「いやー、会員限定ページっていうのがあってな」

「会員限定?」

私だって少しはそのサイトを知っているので、話を聞けば分かるかもしれない。

「そう。会員しか入れないんだけど、もうすっかりそのページに入ってると思い込んでいたんだ」

「へぇぇぇ」



分かるような分からないような。

でも私だって一人暮らしの時にはチケットの予約くらいは多少したものだ。

今はすっかり影文に甘えてしまって、おんぶにだっこ状態。



反省しなきゃ、な。



・・・



「ランチショーに連れてってくれる?」と影文が言った。

「ランチショー?」

「そう。そのシチューは夜に回して、二人で外にランチに行かない?」

「喜んで」



どんなショーにしたらいいんだろう。

ショーと言うからには少々お高いものがいいんだろうか。

いつものパスタ店だと影文はもの足りなさそうだしな・・。



「牛丼で。と言いたいところだが、イタリアンの気分だからお前に任せる」

またいつもの私のひとり言らしい。どうも思っていることを口にしてしまう癖は治らないようだ。



「だったらデザートつきで」

「おう。できればアフターサービスもお願いしたいな」

「アフターサービス?」



「お前の店、開店するの1時間遅らせてくれないか?

どうしてもお前と今見たいDVDがある」

「うん。わかった」



「ちょっとエロイけどな」

そっち系?!な訳がない。帰りにレンタルショップによるのは必定だ。

多分その俳優さんの映画のDVD。影文に少し似ているあの人・・



こんなときに名前が出てこないなんて。



「お前なぁ。さすがにその名前は覚えておいてくれ。○○△△だ」

「はい。どうも失礼しました」

私は影文とその俳優さんに詫びながら出掛ける準備を進めるのでした。



おわり


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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

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