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注文の少ない料理店

今日は雨。お気に入りの傘で来てしまった。店の外にある傘たてでは盗まれる心配があり。


たたんで水を切ろうとするとスカートに張り付いた。不快である。

傘を持って入ると店主は嫌な顔。出ようかと思うともう水を用意している。

適当に席につく。生ぬるい水。メニューは飲み物とパン3種。少ない。

エアコンの設定温度は何度なのか。膝の辺りがもぞもぞ生ぬるい。



コーヒーショップなのにアロマディフューザーが置いてある。ラベンダーと何やらの香り。理解不能。

一見美しい内装だが、カーテンが汚い。白いレースのカーテンが薄汚れている。もうダメだ。



注文の少ない料理店は不快。メニューは少ない。甘いものはない。衛生的でない。女性には不向き。

店の名は「Honey」。コーヒーを飲んで店を出た。人生そんなに甘くない。


end.

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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

デリート

一瞬の間に記憶がなくなることが増えた。

私の記憶をデリートするのは男。4人。

名前は上川、阿部、小畑、宗森。



この4人が揃うまで、こんなに記憶を消されることはなかった。

最初は上川と阿部がいた。

上川は一期生、阿部は三期。



一期生は私が生まれる前から、私の誕生日を操作していた。

私は本来、夏生まれではない。

それなのに現在の誕生日にしたてたのは、私の誕生日が四柱推命のちょっと特殊な日だからである。

午前と午後で運命が違うのだ。

何故夏生まれでないかと言うと、私の命が芽生えたのが、兄が生まれた月になってしまうからである。

私と兄は年子である。

つまり、秋の予定であった。少なくとも立秋を越えてから。だから私は早産である。

親はこの矛盾に気づいていない。私は体重3200gで生まれたと聞いている。無理がある。

兄は母と引き離されるとき、火がついたように泣いた。


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テーマ:SF - ジャンル:小説・文学

イチゴ歯磨きの初恋

いじめられっこでして。


・・・


小学1年生のとき、団地の子ども達と話をしていました。

「歯磨き粉って食べる?」

「は?」

「イチゴ味だったら?」

「あー、食べる食べる」

なんて会話です。



「アンタは?」

「食べる」

私は答えた。



「やーい!食べるわけないやん。お前だけやで、そんなん食べるの」

「歯磨き粉食うの?おかしいんちがう?」

「変なのー」



7人くらいいたでしょうか。完全アウェー。

泣かないですが、普通なら泣いて家に帰るレベル。

変人、貧乏、気色悪い、お前おかしい、その他。

さすがに堪えます。私だって生きてますから。



「食べるで。イチゴ味やろ。おいしいやん」

突然現れた正義の味方。その名は知らない。6年生くらいの男子です。



「なあ、おいしいやんなあ」

「うん」



これで試合終了。イチゴ歯磨きのお兄ちゃん。正義の味方の圧勝です。

皆は散り散りに去っていきました。

お兄ちゃんはいつのまにかいなくなっていて、それきりお礼も言えず始末です。



あなたにお礼を言いたいけれど。

正義の味方と笑われても、あなたのように強くやさしく生きたいです。



おわり。


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テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

タマひよ物語・5

タマとひよがおりました。

タマはオス猫、ひよはメスの小鳥。二人は結婚しています。

今日は香りのお話です。



・・・



タマとひよは困っていました。

何故なら、二人で一緒に買ったハンドクリームがひよの肌には合いませんでした。

足につけていたのですが、荒れてしまったのです。



「ごめんな。俺が勧めたばっかりに」

「そんなことないよ。だって私も欲しかったんだもの」



そうなんです。二人ともよい香りが大好き。

エッセンシャルオイルでは刺激が強すぎるので、ハンドクリームにしたのです。

幸福でセクシーな、ジャスミンの香りです。



・・・



足の荒れはすぐに治りましたが、ハンドクリームはタマしか使えません。

タマは申し訳なくて使う気になれませんでした。

そこでひよは言いました。

「スーパーへコロンを買いに行きましょう!」



スーパーにはジャスミンの香りは売っていませんでしたが

フルーツやバニラやシャンプーの香りのコロンが売っていました。



二人はあれこれ比べてみて、結局シャンプーの香りにしました。

ひよは羽にひと吹き、タマは全身にふわっとコロンをまといます。



「これだったら二人とも大丈夫だね」

二人はシャンプーの香りに心躍りました。



そこへやってきたちゅんは言いました。

「私だったらコロンより香水がいいな。それよりそのハンドクリーム、使わないなら売ってくれない?」

そうなんです。カラスのちゅんの足はちょっとガサついています。

二人は喜んでプレゼントしました。



・・・



「ところでさー、ちゅん。この前言ってた俺の友達を紹介したいんだけど、いつがいい?」

ちゅんはビックリしてしまいました。そんな話はとっくに忘れていたからです。

「黒猫でね、サブっていうヤツなんだけど、よかったら今度食事でもって」



なんと!ちゅんはすっかり舞い上がってしまいました。

さて、素敵な香水探しに奔走しなければなりません。



「いつでもいいわよ」

ちゅんは余裕しゃくしゃくな感じで答えましたが、あまりに落ち着きがなかったので

二人は堪えきれずに笑ってしまいました。



「失礼なっ!」

ちゅんは怒って帰りましたが、本当は嬉しくて仕方ないことが分かっているので

ふたりとも幸福な気持ちになりましたとさ。



おしまい。



【備考】

タマ:猫、ひよの旦那

ひよ:小鳥、タマの妻

ちゅん:カラス、ひよの友達


テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

タマひよ物語・4

タマとひよがおりました。

タマはオス猫、ひよはメスの小鳥。二人は結婚しています。

今日は料理のお話です。



・・・



タマとひよは今日の晩ご飯の相談をしていました。

タマはおでんが食べたいと言い、ひよは水炊きが食べたいと思いました。

だっておでんだと折角のお野菜がクタクタになってしまうからです。

小鳥なら、誰だってシャキッとしたお野菜が食べたいものです。



「水炊きがいいの?だったら俺、ぞうすいも食べたいな」

とタマが言ってくれたので、ひよはホッとしました。

ぞうすいなら、タマが心ゆくまで食べてくれればいいと思ったからです。

そして自分はスープだけ飲めばよいのです。



二人での食事は、案外大変なのです。

特に同じメニューで食べようと思ったら。



・・・



二人で買い物に行きました。

鳥鍋はなんとなく嫌ですから、豚鍋にしました。

そしてタマがキムチを入れてみたいと言いました。

ひよは「少しだけなら」という条件つきでOKしました。

そしてキノコや白菜、にんじんなどを買って、そしてビールも買ってお会計です。

「デザートにチョコレートが食べたい」というタマのために、チョコも買いました。

ちょっと予算オーバーなのです。



・・・



鍋はタマが作ってくれました。

キムチはひよが思っていたより沢山入っていましたが、これが意外においしいのです。

そしてタマも豚肉と野菜とごはんを堪能しました。

ひよは野菜とスープを堪能しました。

「ひよ、ごはんも食べなよ」

とタマが言いましたが、ひよはもうお腹一杯です。

そして最後はチョコレートとビール♪と思ったのですが、そこへちゅんがやってきました。

ちゅんはビールを持ってきてくれていました。そして自分用に焼酎も。

ぞうすいの残りをつつきながら、3人で宴会となりました。

そしてちゅんは思いました。



絶対うまくいかないと思ったけれども、この夫婦、意外になかよくやってるな。

私も素敵な彼氏が欲しいので、紹介して欲しいな・・



「よかったら俺の友達、紹介するよ」

ちゅんは柄にもなく、頬を染めてしまいましたとさ。



おしまい。




【備考】

タマ:猫、ひよの旦那

ひよ:小鳥、タマの妻

ちゅん:カラス、ひよの友達


テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

タマひよ物語・3

タマとひよがおりました。

タマはオス猫、ひよはメスの小鳥。二人は結婚しています。

今日はウォーキングのお話です。



・・・



体が弱いひよのため、タマはひよに「ジョギングをしないか」と誘いました。

けれどもひよにはそれだけの体力がありません。

はばたいて飛べますが、走ることとはまた別のこと。

ひよが「うーん・・」としょげているとタマは言いました。



「なら、ウォーキングにしよう!歩こう!歩こう♪」



そうなんです。歩くことくらいならひよにだってできそうです。

うなづいたひよと一緒に、タマはウォーキングセットのショッピングに出掛けました。



・・・


近くのスーパーで二人はジョギングウエアを買いました。

そして汗をふくタオルをお揃いで買いました。

問題は靴です。

タマはすでに持っていますがひよは持っていません。

素足じゃ痛いなとおもっていると、たまが特製の靴を作ってくれました。

というか、ひよの足が痛くなったときに休む椅子を用意してくれたのです。



「靴はいいのが思いつかなかったよ」



そりゃそうなんです。なんと言ってもひよは小鳥なのですから。



・・・



そして二人は週二回のペースでウォーキングをはじめました。

友達のちゅんは言います。

「私にはその椅子、絶対必要ないな。この立派な足を見て頂戴」

確かに立派な足なのです。ひよはとっても羨ましく思いました。



「でもちゅんちゃんにはそろそろ杖が必要だね」

タマが言いました。

そう。ちゅんの年齢は・・ここに書いたら叱られますから止めておきましょう。



「ダイエットできるかな?」

嬉しそうなタマの言葉にひよは「私たち、反対じゃん」と言いました。

「早く元気になって、ジョギングしような」とタマが言いました。

そしてひよも、早く病気を治して、次は三人でジョギングをしてみたいなと思うのでした。



おしまい。




【備考】

タマ:猫、ひよの旦那

ひよ:小鳥、タマの妻

ちゅん:カラス、ひよの友達


テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

タマひよ物語・2

タマとひよがおりました。

タマはオス猫、ひよはメスの小鳥。二人は結婚しています。

今日は旅行のお話です。



・・・



タマは「どこか他の温泉へ行かないか?」

とひよに言いました。

ひよは「いいわね!」と言い、二人は出掛けることにしました。

目指すは兵庫県の有馬温泉です。



・・・



有馬温泉までの旅は結構長旅となりました。

ひよは体が弱いので、休み休み行かなければなりません。

タマはひよを庇いながらやっと湯の町、有馬温泉に着きました。



温泉に着いたふたりは旅館をとって、金泉・銀泉に入ります。

金泉は赤っぽく、銀泉は割りと普通な感じです。

「ここの湯は、お肌にとってもいいんだよ」

タマは言いました。

ひよは新しい町で何日暮らすことになるのかしらと思います。

旅は苦手ですが、タマと一緒なら勇気百倍です。



・・・



旅館ではおいしいお魚やお肉、そしてお野菜を食べ、ビールも少し飲みました。

ひよはビールを飲むのははじめてでしたが、とっても苦くて貝殻が食べたくなりました。

そうするとタマが持ってきてくれていました。

そうなんです。小鳥にはカルシウムが必要。貝殻は必須アイテムなのです。



そして3日が過ぎ、ふたりは自分たちの温泉街に帰ることにしました。

お土産に、名物の炭酸せんべいをちゅんに買って帰りました。



お土産を渡すと、ちゅんはとても喜んで

「自分も旅行に行ってきた」と言って温泉まんじゅうをくれました。



これではお土産交換になってしまうよねって、三人で笑いました。



・・・



ひよはタマがいつも飲んでいる日本酒と一緒に、温泉まんじゅうを食べながら思いました。

旅行も悪くはないけれど

やっぱりこの町でタマと買い物に行ったりご飯を食べに行ったりするのが一番いいや、っと。

そう言うと、タマは少しションボリしてしまったので、ひよは慌てて「でも冒険だったわ」と言いました。

タマはすっかり喜んで、次の旅行の計画を立てているのです。



おしまい。



【備考】

タマ:猫、ひよの旦那

ひよ:小鳥、タマの妻

ちゅん:カラス、ひよの友達


テーマ:ショート・ストーリー - ジャンル:小説・文学

お知らせとか。
久しぶりにココに手を入れます。ブログブーム到来です。そして、 ショートストーリーブーム、始まりました。 いつまで続くか分かりませんが、どうぞよろしくお願いします。  
近況コメント (2015/3/17 up)
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